大石悠風也の日報

ブログです。

終電を逃す(夢)

俺はくたびれた恋人達が夜を過ごすためだけに泊まるようなしけた温泉旅館のようなところにいる。そこのカウンターで、さっき貰ったばかりの有名な女性歌手のサインを、要らないのでファンのおばさん達に譲ろうとしていると、その女性歌手がライブを終えてこちらへ戻ってくるタイミングで、気まずい思いをする。

目が醒めると辺りは真っ暗で、時刻は午前一時を過ぎている。俺は慌てて電車を降りる。だんだんに目が慣れてきて、ここがM駅だと言うことが分かる。都心の方だ。そういえば、O線は最近、Q線に直通するようになったのだった、と思い出す。終電は終わり、照明は全て落ちてしまっている。人はなく、暗闇はすこし怖いような気がする。だから少し急ぎ足で階段を降りて、改札を抜ける。 

そこはマンションが建ち並ぶ住宅地の中にあるような、のっぺりとほの明るい広場だ。整然とした埋立地の雰囲気がある。すこし歩いたところで、俺は駅のホームに本を忘れてきたことを思い出し、億劫だが、仕方なく元来た道を引き返す。お金が無いので、窓口の横を通って改札の中に入る。真っ暗なのと、記憶が不確かなので、自分がどのホームから来たのかよく分からず、誰かに訊こうと思う。

「ふいまえん、ふいまえん」
すいません、と言いたいのだが呂律が回らない。声は反響し、何か非常に愚かしい人間が教会に懺悔をしに来たような感じがする。「だえもいあえんか」(誰もいませんか)
…少し待っていると、警備員のおじいさんが靴の音をこつんこつんと響かせながら階段を下りて来てくれる。俺は呂律が回らないがおじいさんに事情を話す。おじいさんはなんとなく理解してくれて、俺はN番線のホームへ行き、その果てまで歩いていく。本はあった。俺は無事にそれを回収する。

外に出て歩いていると、叔父と従兄弟たちが乗ったワンボックスカーと遭遇する。叔父と話す。
「何してるの?」
「終電が終わっちゃって、帰ろうと思ってとりあえず歩いてる。送ってもらえる?」
その車は八人乗りで、五人くらい乗っているのだけど、断られてしまう。少し不可解に思う。
「ごめんね。今、一回荷物を取りに行ってからAさんのうちに行くところだから」

それからまた一人で歩いていく。もうあまり都心然とした清潔さは無く、雑踏のにおいがする繁華街の通りに出てきている。俺は焼き鳥屋の屋台を見つける。屋台の親爺はどこにも居ない。もう店仕舞いしている様子なのだけど、焼き鳥は並んでいて、俺はつまみ食いしようかどうか迷う。飄々とした六十歳前後のおじさん、Sさんという旧バイト先の先輩に話しかける。
「どこかの焼き鳥屋さんの歌がありますよね、プリプリお肉に美味しい塩ダレ〜みたいな」
Sさんはその歌の続きを歌ってくれる。屋台の親爺がいつの間にか戻ってきて、モツ煮か何かを作り始める。夜も明けている。親爺の機嫌はあまり良く無い。