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ひんやり感

ブログです。

私怨(カット版)

私はドアを開けて外に出た。外は薄暗く狭い通路だった。あまり長くない通路だという事が分かった。突き当たりの天井から光が差し込み、その光めがけて梯子が掛かっているのが見えたからだ。私はそこまで歩いていって、梯子を上った。梯子は鉄製でひんやりと冷たく、赤茶けて錆の臭いがした。外へ出ると、そこはA駅南口の駅前通りだった。私はマンホールから出て来たらしい。私は携帯端末で自宅への経路を調べて、駅の改札に向かった。マンホールから這い出て来た私の存在を気に留める者は一人も居なかった。風が紫陽花の香りを運ぶ六月の昼で、空は仄かに晴れていた。