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作り話

右岸と左岸

電車が終点に近づくにつれて乗客は一人二人と減っていき、最後に二人の酔いどれが残った。進行方向右岸の酔いどれはある程度の意識を保っているようだった。左岸の酔いどれは、もう酔いつぶれて眠ってしまっていた。走る電車の中、右岸は自分の置かれている…

ぽめぽめ

カシ太は仙人のアパートで紅茶を飲みながら誓いを立てた。仙人は何千年か生きていると言っていたが見た目はそこらに居る青年のようで、カシ太はまだ子供だった。仙人がカシ太に訊いた。「本当にやりたい?」「はい」 意気込んだら声が少しかすれてしまったの…

冗長桃太郎

第一部《胎動》 昔々、今よりも幾らか前のある期間、それは一週間や数十年前ではなく、恐らく百年か二百年か、或いはそれよりもさらに旧い時代を指していると考えられる。しかしそれが石器時代よりは幾分先のことであるというのもまた明白である。なぜそのよ…